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個人事業主の場合

法人よりも簡単に始められるのがメリット

新会社法が施行されたとはいえ、法人の立ち上げにはいろいろと時間も手間がかかるもの。
まずはスピーディーに事業を立ち上げたいと思っているあなたには、個人事業主としての開業をおすすめします。
もちろん、個人事業がうまくいったら法人化することも可能(法人成り)です。

1. 事業開始の手続き

事業を開始する際には、自宅兼事務所の場合は現住所の所轄の税務署に出向きます。自宅とは別の場所に事務所を構える場合は、その事務所を所在地を納税地にすることもできますが、「所得税の納税地の変更届」を、自宅住所側と新住所側のそれぞれの税務署に提出する必要があります。
また、所得(売上から経費を引いたもの)が290万円以上になる場合、事業税が発生する場合は、地方税を管轄する都道府県税事務所へも「個人事業開始申告書」を提出します。ただ、事業初年度で所得が見込めない人は、届け出の必要はありません。初年度の所得を確定申告すると、自動的に通知が届くようになります。

2. 所得税の減価償却資産の償却方法はどう選ぶ?

事業のために活用する機械や車など、何年にもわたって使っていくモノは、固定資産となります。それらのものを経理処理する際は、買ったその時に全額を経費にすることはできません。耐用年数に応じて何年かにわたって償却する形を取ります。
事業開始時に届け出をすることによって、所得税の減価償却資産の償却方法として、「定率法」を選ぶことができます。償却方法は「定率法」と「定額法」があります。定額法は、毎年の減価償却費が定額となることで、「定率法」は資産を購入した初めの年の方が減価償却費は多く、年とともに減少していく方法です。事業開始時は、いろいろなものを購入することになるでしょう。定率法の方が減価償却率を大きく計上でき、節税効果が大きくなりますので、定率法を選択することをおすすめします。
届け出を出さないと、自動的に「定額法」が適用されますのでご注意ください。

3. 「青色申告」の手続きをしよう!

個人事業主になったら、所得税を自分で計算し、年に1度、税務署に申告(確定申告)します。青色申告を希望する人全員が提出しなければならないのが「所得税の青色申告承認申請書」です。所定のフォーマットで納税先の所轄税務署に提出します。提出期限がありますので、開業届と同時に手続きをしてしまうことをお勧めします。
提出期限は、新規開業の場合、1月1日~15日までに開業届を出した場合は、その年の3月15日まで。1月16日以降に開業する場合、開業日から2カ月以内となります。

4. 家族を従業員にする場合の手続き

「青色専従者給与に関する届出書」を提出すると、奥様など、家族と一緒に事業を行う場合、家族に対して支払った給与を全額経費にすることができます。もちろん、その場合、その家族の方がほかの仕事を持っていないこと、事業主と同居しており生計が同一であること、その事業に年間半年以上従事していること、確定申告の際の配偶者控除、扶養控除の対象になっていないこと、といった条件があります。

5. 従業員を雇う場合の手続き

「個人事業主」であっても、届出をしておけば、スタッフを雇い入れ、その給与を経費にすることができます。「給与支払事務所等の開設の届出書」を事務所の所在地の所轄税務署に提出します。提出期限は、事務所開設後1か月以内となります。なお、同時に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」も提出しておきましょう。これは、スタッフの給与から天引きした源泉所得税の納付を年2回にまとめられる特例措置です。通常、源泉税は徴収した翌月10日までに納付しなければならないのですが、この届け出を出しておくことによって、手間がグッと減ります。

青色申告のメリットは大きい!

個人事業主の所得税の申告方法には、「青色申告」と「白色申告」の2種類の申告方法があります。青色申告は、白色申告に比べると、複式簿記による記帳が必要で、経理の知識が必要になりますが、節税効果を考えると迷わず青色申告を選択することをお勧めします。
青色申告にすると、最高で65万円の所得控除があります。白色の場合はそれがありません。つまり、青色申告の場合、事業で100万円の利益が出た場合、そこから65万円を引いた35万円だけに所得税がかかるのに対し、白色申告では、100万円全体に所得税がかかってしまうのです。
また、青色申告では、たとえ事業がうまくいかずに損失が発生した場合、翌年以降3年間にわたって赤字を繰り越すことができます。
複式簿記による記帳をやったことがない人でも大丈夫です。近年は、わかりやすい会計ソフトも数多く発売されています。また、月々数千円の会費を払って所轄のエリアの「青色申告会」に加入しておけば、確定申告前に、会計データをチェックしてくれたりアドバイスをしてくれたりもします。顧問税理士をつけることが難しい場合は、青色申告会に加入しておくと安心です。